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都築響一が語る、日本のファッションの面白さ、本当のかっこよさ - CINRA.NET(シンラドットネット)

おしゃれってなんだろう? パーフェクトなルックスのモデルやインタスタグラマーたちが、日々ファッション誌やInstagramを通して、しつらえのよい服やアクセサリーを身につけて理想のビジョンを提供する。そのように流通しているファッションとはいったい誰のためのものなのだろうか?

そんな悩ましい疑問も含めて「ファッションとは?」を考える機会になるのが『ドレス・コード? ―着る人たちのゲーム』展だ。時代、地域、社会階層、文化に紐づくファッションのコード(規範)を多角的にとらえる同展では、西欧を中心としたハイファッションのみならず、俗に言うヤンキーやオタク系の文化風俗も取り上げられている。

そんなファッションの多面性を考えるため、同展出品者でもある都築響一に話を聞く機会をえた。独自の視線で日本のファッションを追ってきた編集者である都築は、ファッションをめぐる社会的なコードをどのようにとらえているのか。

(メイン画像 撮影:都築響一)

ファッションはいつまでヨーロッパ中心なのか?

―このコロナ禍をいかがお過ごしですか?

都築:取材に行けなくなってしまったというのはありますけど、もともと家で原稿書いたりするのが主な仕事なので僕の生活はほとんど変わっていないです。むしろ中止や休止になってしまった美術館がオンラインで新しいことをやっていて、それをチェックするのに意外と楽しく忙しく過ごしてます(笑)。世の中の大勢の人も「なんだ、朝から晩まで会社にいる必要なかったんじゃないか」と気づいたり、いろんなことを考え直したりするチャンスになっているんじゃないでしょうか。

都築響一(つづき きょういち)<br>1956年、東京生まれ。1976年から1986年まで『POPEYE』『BRUTUS』誌で現代美術、建築、デザイン、都市生活などの記事を主に担当する。1989年から1992年にかけて、1980年代の世界の現代美術の動向を包括的に網羅した全102巻の現代美術全集『アート・ランダム』を刊行。以来、現代美術、建築、写真、デザインなどの分野での執筆活動、書籍編集を続けている / 写真は、2020年3月のインタビューで撮影されたもの
都築響一(つづき きょういち)
1956年、東京生まれ。1976年から1986年まで『POPEYE』『BRUTUS』誌で現代美術、建築、デザイン、都市生活などの記事を主に担当する。1989年から1992年にかけて、1980年代の世界の現代美術の動向を包括的に網羅した全102巻の現代美術全集『アート・ランダム』を刊行。以来、現代美術、建築、写真、デザインなどの分野での執筆活動、書籍編集を続けている / 写真は、2020年3月のインタビューで撮影されたもの(参考:都築響一×ギャル電まお テクノロジーは「持たざる者」の味方

―都築さんが参加されている『ドレス・コード? ―着る人たちのゲーム』展も開幕延期になっていますが(7月4日から開幕)、今日は展覧会やそこから派生して、アフターコロナのファッションや社会環境などについてお聞きしたく思っています。

都築:この展覧会は巡回展で、すでに京都(京都国立近代美術館)や熊本(熊本市現代美術館)などで展示をしてきました。だから参加の依頼を受けたのはずいぶん前なんですけど、僕に期待されていたことって、きらびやかなファッションの世界と現実の日常をつなぐ「何か」だったんだろうなと思っています。まあこれはかなりよい言い方で、ハイファッションばかりの展示のなかで「色物」「添え物」的な役割を求められたんでしょうね(笑)。

東京オペラシティ アートギャラリー『ドレス・コード? ―着る人たちのゲーム』2020年7月4日~8月30日開催
東京オペラシティ アートギャラリー『ドレス・コード? ―着る人たちのゲーム』2020年7月4日~8月30日開催(サイトを見る

―そのぶんだけ都築さんが示すファッション観は幅広いですよね。例えば九州のド派手な成人式や、ロリータファッションの老舗「BABY, THE STARS SHINE BRIGHT」。日本のファッション史の多様性に驚かされます。

都築:雑誌編集者をやっていたこともあって若い頃からファッション好きだったし、周囲にも業界の友だちがたくさんいました。でも、ある時点からファッションのシーンがおかしくなってきた気がしていたんですね。僕が子供の頃は、ハイブランドの世界が中心にあって、その頂点にはフランスで行われるパリコレがありました。

そこで今年の流行色やスカート丈なんかが発表されて、1年ぐらいかけて世界の末端まで広がっていく……例えばブランド品を買えない人はそれを真似て作られた安い国産品を愛用したり、写真や型紙を参考にして近所の洋品店で作ってもらったり、自作したりっていう憧れをともなう文化の広がりがありました。

―はっきりとしたヒエラルキーがあった、と。

都築:ところが、ある時点からハイファッションがストリートの後追いになっていくんです。元田敬三さんの撮った革ジャンみたいに、まずストリートファッションがあってそれをうまくアレンジして高い値段をつけて売るっていうゲームが主流になっていった。

元田敬三『御意見無用』2016~2018年 ©Keizo Motoda, courtesy of MEM, Tokyo / 『ドレス・コード? ―着る人たちのゲーム』展
元田敬三『御意見無用』2016~2018年 ©Keizo Motoda, courtesy of MEM, Tokyo / 『ドレス・コード? ―着る人たちのゲーム』展

都築:もはや今シーズンのパリコレがどうだったかを気にしてる人は絶滅危惧種です。それに、昔は春夏と秋冬、レディースとメンズで4回だったのが、いまや倍以上あってわけがわからない。

それと、もう1つの問題意識としてあるのが「ファッションはいつまでヨーロッパ中心なのか?」です。この展覧会にはCOMME des GARÇONS(コム デ ギャルソン)やヨウジヤマモトのような日本人のブランドも紹介されてますけど、基本はヨーロッパ。そういう服は身長が180cmとかあるヨーロッパのモデルさんが着て一番きれいに見えるものなわけです。

それを僕ら日本人は裾を詰めたりして、いわばダウングレードして着ている。その背伸びする感覚も悪くないけれど、もっと日本で暮らす日本人の体型に似合うファッションもあるはずだろうと思って、ずっと取材を続けてきたんです。ところが、どこのファッション誌にもそんな情報は載っていないわけ(苦笑)。

―都築さんは、ファッション誌に載らないニッチなトレンドを探し続けてきたんですね。

都築:いや、その認識が間違ってます。珍しいものを探したわけじゃないんです。北九州の成人式は極端な例かもしれないけれど、あれは日本の成人式のある種の象徴みたいなもので普遍性があります。

都築:フリーペーパー『鶴と亀』が取り上げる田舎のじいさんばあさんたちの作業着もそうで、着ている人はたくさんいるのに、ファッションメディアが載せてこなかったものを取り上げているだけ。東京都心で暮らすファッション関係者だけが気づかない、大きなシーンがあるんですよ。

都築響一『ニッポンの洋服』より 『鶴と亀』 写真提供:小林兄弟 2013–2019年 ©鶴と亀 / 『ドレス・コード? ―着る人たちのゲーム』展
都築響一『ニッポンの洋服』より 『鶴と亀』 写真提供:小林兄弟 2013–2019年 ©鶴と亀 / 『ドレス・コード? ―着る人たちのゲーム』展

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June 24, 2020 at 05:02PM
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