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ファッションの新ミューズ、シャイガールが語る「本当の自分」から生まれる創造性。 - VOGUE JAPAN

ロンドン南部出身のシャイガール(Shygirl)ことブレーン・ ミュイズが、ジャンルを超えたシングル「Want More」をリリースしてから5年。以来、ミュージシャン、DJ、そしてレコードレーベル、NUXXE(プロデューサー兼ミュージシャンの友人であるセガ・ボデガコウコウ・クロエとの共同経営)の創設者として活動してきた彼女は、実験的で破壊的な創造性を軸に、自身の世界観を築きあげてきた。

2018年、当時24歳の彼女がリリースしたデビューEP「Cruel Practice」では、ダンスフロアのような反秩序的な場所から華やかなキャットウォークまでを席巻し、幅広いファンを獲得した。リアーナは、2017年のフェンティ x プーマ(FENTY x PUMA)を筆頭に、さまざまなファッションショーフェンティ ビューティー(FENTY BEAUTY)のコマーシャルにシャイガールとNUXXEのアーティストを起用してきた。また、ミュグレー(MUGLER)2021年春夏コレクションのフィルムでシャイガールの「Want More」を採用。2020年6月には、ベネズエラのミュージシャン、ARCAの傑作「KiCk i」で、ロザリアやビョークと共演を果たした。

同年末には2枚目のEP「Alias」をリリースし、2021年1月に悲劇的な死を遂げた故ソフィーとARCAとのコラボレーションを実現。「Tasty」や「Slime」などの楽曲を収録したこの作品が、バーバリー(BURBERRY)のチーフ・クリエイティブ・オフィサーであるリカルド・ティッシの耳に入り、2021-22年秋冬ウィメンズ・コレクションに参加するきっかけとなったのだ。

ロンドンの自宅からZoomインタビューに答えてくれた彼女はこう語る。

「もちろん、リカルド・ティッシの作品は知っているけど、リカルドが私の作品を知っているとは思いませんでした。初めて会った時、私たちがさまざまな点で共通していることに気づきました。クリエイティビティの相乗効果が生まれるコラボレーションは、本当に素晴らしい経験です。志を同じくする仲間を見つけることは、私が音楽に求めていたことですから」

一方のティッシは、シャイガールをこう絶賛する。

「シャイガールは、信じられないほどパワフルで才能豊かな女性。自分が何者であるかを一切の偽りなく表現し、音楽やアートを通して、現代の若い世代の声を代弁しています。それこそが彼女に惹かれた理由であり、アーティストとしても人としても、彼女を尊敬しています。彼女には天賦の才がある。自分を表現することを恐れず、自分の真実を生き、ロマンティシズムと官能を備えた女性の力を信じているのです」

去る4月21日にオンラインで公開されたバーバリーのコレクションは、母なる自然、20世紀初頭に勃興したイギリスのクラフトやアウトドアのムーブメントに敬意を表する内容だった。リージェント・ストリートの旗艦店を舞台にバーバリーの衣装をまとって圧巻のパフォーマンスを披露した彼女に、ファッションのパワーや自分らしさを失わないことの重要性について、話を聞いた。

本当の自分である時、他人と真のつながりを持てる。

──この1年半で、あなたの人気は爆発的に高まりました。それはなぜだと思いますか?

それは自然な成り行きだと思います。自分が最も本当の自分である時にこそ、他者と真のつながりを持つことができます。翻って、自分ではない何かになろうとしていたら、本物のつながりを持つことはできないんです。自分の表現を全面的に支持してくれるどうかにかかわらず、ひたむきに自己を追求しようとする姿に、人は共感するのだと思います。その衝動がどのようなものかを誰もが知っているからです。

パンデミック以降、多くの人々が物事を注意深く観察し、理解や考察を深めていました。従来の業界の作法に制約されることなく作品を発表し、オーディエンスに吸収してもらうには、最高の環境だったと思います。ライブやショーなど、やるべきことはたくさんありますが、今はショーをすることができないので、これまでよりも自由に自分を表現できる可能性があります。今回のパフォーマンスは、私にとっても、私が好きな仕事のやり方にとっても、ぴったりの舞台だったと思います。新しいチャレンジができて嬉しいです。

──人はどのようにして本当の自分を発見すると思いますか?

ある種のエゴが必要ですね(笑)。私はいつも、自分がやっていることは正しいんだ、とか、価値があるんだ、と信じて自分自身を励ましてきました。両親も私が何かに挑戦する時、いつも後押ししてくれました。時には自分で自分の作品を「最高!」と思っても、ほかの誰かは異なる意見を持っているかもしれない。私はそういう対話が好きです。人が私を好きになってくれのが当たり前だとは思っておらず、人々がどう感じているかを知りたいし話し合いたい。私に対する期待に疑問を投げかけたいのです。

女性には自分の足で立ち上がる強さがある。

──バーバリーでのリカルド・ティッシとの仕事はどうでしたか?

リカルドが私の「Slime」のビデオをとても気に入ったと言ってくれた時は、光栄でした。私のInstagramではなく、私の作品を評価してもらえたことが何より嬉しかったです。確かにInstagramも私のクリエイティブ活動の一部ですが、そこから私の真価を理解することはできないとも思っているんです。だから、「この人はクールだから起用しよう」といったオファーには全く興味ありません。

──シャイガールとして進歩するにつれ、あなたのスタイルはどのように変わりましたか?

間違いなく自信が増し、その日の気分や心地よさに合わせて服を着るようになりました。心地よさとは、必ずしも四六時中トラックスーツを着ていることではなく、もっと精神的な心地よさ、例えばすごくセクシーだったり露出度の高い服を着ることだったりします。自分で選べる=コントロールできるものだからこそ、力を引き出すことができるのです。自分がコントロールする空間でいかに心地よく過ごすか。それこそ、ミュージシャンとしてではなく、ひとりの女性として注目されることがわかっている空間で、自分が何を着るかを選ぶ上で、心地よさは重要です。

リカルドやバーバリーの人々と話す時もそうです。ファッションが進歩したのは、登場する身体のバリエーションが増えたからです。デザインを考える上で、大柄な女性=体を隠したいというのは間違った認識です。これまでのファッションには、私が今回のような表現をするためのスペースがなかったと思いますが、今ではもっと実験的なことに挑戦できる余白がある。以前よりも心地よく感じています。

──バーバリーのコレクションは、パワフルで印象的な女性像が軸にあったと感じました。あなたにとって、そのような人物は誰ですか?

一緒に仕事をしているミーシャ・ノットカット(スタイリスト兼クリエイティブディレクター)です。7年ほど前に初めて会った時、彼女に衝撃を受けました。当時、私はフォトグラファーのアシスタントで、撮影を手伝っていたのですが、彼女が現場を支配している姿を見て、とても感動しました。威張っていたわけではなく、彼女が文字通りすべてを動かしたのです。彼女はまた、クリエイティブなコミュニティをはじめ多くの人々と私を結びつけてくれました。

あと、母と祖母からも強い影響を受けてきました。女性には、男性にはない打たれ強さがあります。女性は常に支えられなくても、自ら物事に取り組み、成し遂げることができることを教えてもらいました。

──フェンティやリアーナが憧れの存在だそうですが、彼女たちにあなたが楽曲提供する日が楽しみです。

ぜひリアーナのために曲を書きたいです! 彼女の大ファンだから、メディアがそう言い続けてくれたら実現するかもしれません(笑)。

──エンターテイメント業界はパンデミックによって大打撃を受けていますが、この1年をどのように乗り切りましたか?

自分のキャリアのみならず、個人的にも飛躍的に成長したと感じています。ですが、困難はつきものであり、一寸先に何があるかは予測できません。2020年は特に、何が起きるかわからなかったので、音楽が与えてくれるものは何でも受け入れ、可能な限りベストな方法で活用しました。予想外のことが起きて、私を別の方向に向かわせることもあるでしょうが、パンデミックによって、私たち誰もが何事も自分の頭で考えなければならないことを学びました。この経験がいい流れをつくってくれることに期待しています。

Photos: Courtesy of Burberry  Text: Hattie Collins

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