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iPhone 12取扱開始する、楽天モバイルが「本当の勝負はこれから」な理由 - Business Insider Japan

iPhone 12を取り扱う楽天モバイル

楽天モバイルは4月30日から「iPhone 12」シリーズなどのアップル製品の販売を開始する。

撮影:小林優多郎

楽天モバイルが今週金曜日、4月30日からアップルの「iPhone」の取り扱いを開始する

iPhone 12シリーズとiPhone SE(第2世代)、さらにはアップルが先日のスペシャルイベントではじめて披露した忘れ物タグ「AirTag」も販売する。

これまで「Rakuten Mini」や「Rakuten BIG」といったオリジナル製品やOPPO、シャープなどのAndroidスマホを扱っていたが、ようやくiPhoneをそろえることができた。

一般的なユーザーは「買い換える時も同じメーカー」を選ぶ傾向が強い。外観や使い勝手が変わり、新たに操作方法を覚えることをできるだけ避けたいと思うからだ。

楽天モバイル in iPhone

既にSIMフリーiPhoneで楽天モバイルを使うことはできるが、一部の機能にハードルがあった。

撮影:小林優多郎

NTTドコモやKDDI、ソフトバンクのiPhoneユーザーが楽天モバイルの通信料金の安さに魅力を感じても「iPhoneが買えないなら、いいや」と敬遠していたと推測できる。

実際のところ、すでに所有しているiPhoneのSIMロックを解除し、楽天モバイルをSIMカードだけで契約するということも可能だが、一般のユーザーには敷居が高い。

4月8日時点の390万超の累計契約申し込み数をさらに拡大するには一般ユーザーの取り込みが急務だ。楽天モバイルとしては、iPhoneを正式に扱えるようになったことで、さらなるユーザー層の拡大が期待できそうだ。

通信キャリアの4つの競争軸で楽天は互角に戦える状況に

Rakuten UN-LIMIT VI

0円〜3278円の段階制プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」。

撮影:小林優多郎

昔から、携帯電話会社(キャリア)の競争軸は「料金」「サービス(サポート)」「端末ラインナップ」「ネットワーク品質」の4つと言われている。

いまの楽天モバイルを分析すると、かなり既存3社と互角に戦える状態になってきた。

「料金」に関しては3278円(税込)で使い放題を提供。さらに月間1GB未満であれば0円という太っ腹な設計となっている。

ahamo

2970円(税込)で月間20GBのデータ、5分間かけ放題、NTTドコモの4G/5Gネットワークが使える「ahamo」。

撮影:小林優多郎

NTTドコモの「ahamo」が ”楽天モバイル潰し”をしてきたが、完全定額制から従量制に切り替えることで逆に競争力をつけてきた。

使い放題のみの頃は、スマホをアクティブに使うユーザーからしか注目を浴びなかった、だが、従量制にして、スマホをあまり使わないユーザーも安くなるプラン設計にしたことで、幅広いユーザー層の取り込みに成功した。

新料金プランを発表してから一気にユーザーが増えたのは「あまりスマホを使わない層」を取り込めたからだろう。今後も、この層にいかに振り向いてもらうかが課題となる。

1億の楽天会員

楽天は既に広いユーザー基盤を形成している。

撮影:小林優多郎

「サービス」の面においては、やはり楽天経済圏が強みを発揮する。ポイントサービスを中心にカード・証券・銀行などの金融、トラベル・ネット通販などの競争力は3キャリアを大きくリードしている。

KDDIはauじぶん銀行を中心とした金融は強い。しかし、ソフトバンクはジャパンネット銀行がPayPay銀行としてリニューアルしたばかりで、NTTドコモは「dカード」が好調だが、銀行においては後塵を拝す。

楽天モバイルはiPhoneを扱い始めたことで、楽天カードとApple Payのシナジーで差別化できるとおもしろいことになりそうだ。

iPhoneラインナップ

今回追加されるiPhoneのラインナップ。

撮影:小林優多郎

「端末ラインナップ」においては、悲願であったiPhoneを手に入れたことで、かなり他社と戦いやすくなったはずだ。

iPhoneはeSIMに対応し、2回線を同時に使うことが可能だ。わずかながら「4キャリア最安値」である楽天モバイルでiPnoneを購入してもらい、楽天モバイルを契約。これまでのNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの契約は残してもらいつつ、できるだけ安いプランにしてもらい、お試しとして楽天モバイルを新たに契約してもらえばいい。

3キャリアの物理SIMカードで電話を使いつつ、楽天モバイルのeSIMでデータ通信という組み合わせで楽天モバイルを使ってもらい、将来的には楽天モバイルにMNPして一本化してもらえばいいだろう。

足をひっぱっているのは「ネットワーク品質」

基地局数

楽天モバイルの3月末の4Gエリアの状況。

撮影:小林優多郎

お試しからメインに移行してもらう上で重要となってくるのが「ネットワーク品質」だ。2021年3月末現在で全国の人口カバー率は80%を超え、2021年夏には96%を計画する。

これまで頼りにしていたauローミングは、都道府県で人口カバー率70%を超えると打ち切る契約となっており、すでに東京都内はローミングが終わりつつある。実際、多摩市在住の楽天モバイルユーザーは「4月になって電波が弱くなった」とぼやいていた。

SNSでの声を拾ってみると「楽天ペイを使おうとしたのに圏外で払えず、別の手段で支払った」という声が結構多い。

楽天ペイ

好調な金融事業も、ネットワーク品質が足をひっぱる?

撮影:小林優多郎

かつてソフトバンクのエリア品質がイマイチだった頃は、音声通話やデータ通信が圏外で使えないというクレームが多かったが、最近は「QRコード決済が使えない」ことが不満がつながる傾向にあるようだ。

楽天グループとしては、金融が強みであり、決済サービスを使ってもらいやすいキャリアのはずなのに、ネットワーク品質が決済サービスの足を引っ張ってしまっている。

楽天モバイルは1兆円規模の設備投資を計画しているが、それだけでは足りないのは明らかだ。日本郵政やテンセントにもっと出資してもらい、人口カバー率99%を超えるまで基地局を建てまくる必要があるはずだ。

楽天と日本郵政

3月12日に資本業務提携を発表した楽天グループ会長兼社長の三木谷浩史氏(写真左)と日本郵政の増田寬也社長(右)。

出典:楽天

総務省においても、早期に楽天モバイルにプラチナバンドを与えるべきだ。

現在、総務省で楽天モバイルにプラチナバンドを与えるべく、議論が進んでいるが、現状は3キャリアからプラチナバンドの一部を返してもらい、再度、楽天モバイルに割り当てるというシナリオが現実的だとされている。

しかし、これも一筋縄ではいかない。特に3キャリアからプラチナバンドを返してもらうとなると、数年単位の時間がかかる。また、移行に関して楽天モバイルの金銭的な負担も増えることが予想される。

料金、サービス、端末ラインナップと3つが強くなってきただけに、残るネットワーク品質をいかに改善していくかが急務となる。楽天モバイルの本当の勝負はこれからと言えそうだ。

(文・石川温 撮影・小林優多郎


石川温:スマホジャーナリスト。携帯電話を中心に国内外のモバイル業界を取材し、一般誌や専門誌、女性誌などで幅広く執筆。ラジオNIKKEIで毎週木曜22時からの番組「スマホNo.1メディア」に出演。近著に「未来IT図解 これからの5Gビジネス」(MdN)がある。

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