「日米豪印にくさび！? プーチン大統領インドへ」（ここに注目！） - nhk.or.jp

今週７日、アメリカのバイデン大統領とロシアのプーチン大統領がオンラインで首脳会談を行うことになりました。
それを前に、プーチン大統領はきょう（６日）、インドを訪問してモディ首相と会談します。ロシアがインドを重視するねらいについて聞きます。

Ｑ１）インドを含めた４人の首脳が仲良く踊っていますが、プーチン大統領はそれが気になるようですね。
Ａ１）
日米、オーストラリアにインドの４か国の枠組み、４を意味する「クアッド」と呼ばれています。
この枠組みは、影響力を増す中国を念頭に、インド太平洋で結束を強めるため作られました。
ところがプーチン大統領は、中国だけでなくロシアも対象にしているのではないかと疑念を持ってきました。
そこでロシアはこのなかで最も近いインドとの関係を重視しようというのです。

Ｑ２）どうしてロシアはそうするのですか。
Ａ２）
ロシアにとってインドは冷戦時代、古くからの友好国です。
この絵のようにインドの手を引き、できるだけ引き寄せたい、それによって４か国の結束にくさびを打ち込みたいということだと思います。
もうひとつ中国との関係があります。ロシアと中国の関係は良好ですが、インドと関係強化をはかることで中国との関係だけに偏らない、バランスをとるという目的もあります。
そして今一番焦点となっているのがこちら、最新鋭のロシア製の地対空ミサイルシステムＳ４００をインドに売却することです。
来年には配備されるとも伝えられ、両国の軍事分野の結びつきを強めることになります。

Ｑ３）インドはどう考えているのですか。
Ａ３）
このミサイルシステム、ぜひ欲しいというところだと思います。
対立する隣国の中国やパキスタンと対抗するうえで、強力な武器となります。
そもそもインドは建国以来、自主独立、非同盟を外交の柱に据えてきました。
クアッドに対する熱意は日米などと比べると温度差があります。
どちらかに偏るのではなく、クアッドからメリットを受ける一方、ロシアからも兵器を受け、双方から実利を得るしたたかな姿勢をとっています。

Ｑ４）ではクアッドを重視するアメリカはどう対応するのでしょうか。
Ａ４）
アメリカはインドに、ロシア製の兵器であるＳ４００の導入を中止するよう働きかけてきました。
すでに同じ兵器を導入しているトルコには法律にもとづき制裁を科していますので、バイデン政権は、インドに対しても制裁を科すか、クワッドの結束を重視して制裁を見送るか、判断を迫られることになります。
このようにプーチン大統領のインド訪問は、アメリカとロシアが、インドの注意をひこうと競い合うなかで行われます。
クアッドの足並みが乱れることはないのか、さらに今週オンラインで行われる米ロ首脳会談でどう協議されるのか、クアッドの一角、日本からも注目していく必要がありそうです。

（安間　英夫解説委員）

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