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オーバーエイジ枠で東京五輪に出場した遠藤航のことが気になっていました。 昨シーズンのブンデスリーガ、VfBシュツットガルトの主軸としてシーズンを終えたのが2021年5月22日。すぐさま日本へ帰国して同24日からの日本代表に参加し、同28日のカタールワールドカップ・アジア2次予選・ミャンマー代表戦に出場して以降は、U-24日本代表のオーバーエイジ枠でチームに加わり5試合の親善試合に出場。そして東京五輪本番でも全6試合で先発出場を続けました。 ドイツでも絶大なキャプテンシーを発揮する遠藤航
マタラッツォ監督は迷わずリーダーに抜擢
五輪開幕当初、遠藤はシーズン中とまったく変わらないパフォーマンスを維持しているように見えました。そのプレーレベルは惜しくも延長で屈した準決勝U-24スペイン代表戦までは保たれていたように思います。 しかし、U-24メキシコ代表との3位決定戦では彼らしくないプレーが見受けられました。遠藤は強靭な精神力と意思を備える選手であるだけに、金メダル獲得の可能性が途絶えた時点で、心身ともに消耗してしまったのかもしれません。 ひとつの大目標を果たせなかった遠藤には、休息の機会が与えられませんでした。いや、むしろ彼自身が次なる戦いを欲していたようにも思えます。 シュツットガルトの指揮官であるペルグリノ・マタラッツォ監督は、全幅の信頼を置く彼を今季のキャプテンに指名しました。昨季までキャプテンを務めていたゴンサロ・カストロが契約満了となり、新たなリーダーが求められたチームで、マタラッツォ監督は今季始動からキャンプ、トレーニングマッチを含めて一度もチームに合流していなかった遠藤を迷いなくチームリーダーに抜擢。東京にいた彼にキャプテン就任を打診したのです。
「僕はいつも偉そうに見えるんじゃないですか?」
遠藤は、少年時代からチームリーダーを務めてきました。 本人曰く、キャプテンを任されるのは「嫌ではない」らしく、小さい頃から自然とその役割が回ってくるのが常だったそうです。ちなみに昨季も、カストロがメンバー外の際はキャプテンマークを巻くことがありました。 チーム最年長でもなく、在籍僅か3年目の彼がなぜリーダー役を任されたのか。これを本人に問うと、冗談交じりに「僕はいつも偉そうに見えるんじゃないですか? ガニ股で胸を張るような仕草が多いから」と言っていました。ただ普段の彼の所作や言動を仔細に観察すると、その理由が明確に見えてくるようにも思うのです。 浦和レッズ、そしてシント・トロイデン(ベルギー)で遠藤とチームメイトだった関根貴大(浦和)から、こんな話を聞いたことがあります。 「わっさん(遠藤)は、かなりのリアリストだと思うんですよね。試合に負けた後は仲間に結構厳しい言葉を投げかけることがあります。ちなみに僕はシント・トロイデン時代に加入後初得点を決めたとき、そのゴールは試合終了間際の同点弾だったんですが、わっさんが喜んでいる僕の横へ寄ってきて『良かったね。でも、まだ同点だからね。すぐ自陣へ戻ってね』と囁かれたんですよね(笑)」 所属チーム、もしくは代表チームでPK戦となったときに、彼は必ずキッカーのひとりに名乗りを上げます。「できるだけ勝敗が決するタイミングで蹴りたい」らしく、その責任を果たす気概が感じられます。 今夏の東京五輪では、ノックアウトステージ初戦のU-24ニュージーランド代表戦がPK戦決着となり、U-24日本代表は相手が2人目、3人目と続けてPKを失敗する中で上田綺世(鹿島)、板倉滉(シャルケ/ドイツ)、中山雄太(ズウォーレ/オランダ)、吉田麻也(サンプドリア/イタリア)の4人全員が決めて勝敗が決しました。 このPK戦、5番手に志願していたのは遠藤だったことが後に明かされています。物事に動じず、勝敗の責任を一身に背負う覚悟を備えている。その振る舞いこそが、彼をチームリーダーたらしめる要素であることは明らかです。
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